嘘つきの世界で、たったひとつの希望。

「……」

「……」


キミと2人で帰る道。
もう見慣れた景色も、今日は何故かどんよりとしていた。

あの2人といた頃は。
私は笑っていただろうか。

偽りだらけの言葉。
張り付けただけの笑顔。

知らなければ幸せなのに。
私には全部分かってしまう。

そんな中で、笑えるはずもないか。

大嫌いなはずの偽りの感情。
それを私も皆の前で出していた。

人の事、言えないじゃん。

私も、皆も。
結局同じで。

私も醜い世界に染まっているんだって。
今日改めて思い知らされた。

もう、どうしようも出来なくて。
奥歯をギュッと噛みしめれば右手に力が籠められた。

視線をそっちにずらせば。
キミの手のひらが私の手を優しく包み込んでいた。


「ブサイクな顔してる」

「……は?」

「苦しそうな、あの顔」


あの顔と言うのは、きっと。
自殺と勘違いした時の事だろう。

その時も今も、私は“心の声”の事を考えていた。

自分で思っているよりずっと。
私の心は限界を迎えているのかもしれない。


「ははっ……気を付けなきゃね……」


それを証明するかの様に、私の口からは情けない声が出てくる。
チラリと横を向けば、哀しそうな顔をするキミが目に映る。
正輝がそんな顔をしなくてもいいのに。
キミのそんな顔が見たい訳じゃない。
そう思うのに、喋り方を忘れたかの様に何も言葉が出てこなかった。

キミもまた、喋る事なく歩く。

でも、ずっと、手は繋がれたまま。