嘘つきの世界で、たったひとつの希望。

「有紗ちゃんって勉強苦手だよね!(こんな簡単な問題も間違えるとか馬鹿すぎでしょ)」

「仕方ないだろう!?(勉強が出来るからって何になるんだよっ、鬱陶しいな……)」


ふいに視線が交じり合う。
顔は2人とも笑顔なのに。
それからは想像も出来ない言葉。

もうそれ以上聞いていたくなくて。
私は助けを求める様に心の中でキミの名前を呼んだ。

正輝っ……。

辛い時に、苦しい時に。
何故かキミを求めてしまう。
理由は分からないけれど、君を想えば少し気持ちが楽になるんだ。

その時だった。


「ねえ、早く帰ろうよ」


ポンと後ろから肩を叩かれる。
それが誰かを確認する必要なんてない。


「正輝!!」


だってキミを間違えようがないんだから。


「早くしてよ」

「もー分かったって」


仕方がないな、と言うような雰囲気を醸し出しているけど。
本当は凄く助かったんだ。
これ以上、ココにいたくない。


「じゃあ、私帰るね!」

「うん、気を付けてね!(この男好き)」

「明日からも頑張ろうな(友達より男を優先するとかキモイんだよ)」


頭の中に響くその声は。
私の心臓をゆっくりと締め付けていく。

そう思われるのは仕方がない。
実際に私は正輝を優先している。

でも、そう思うのなら口に出してよ。
ちゃんと私に向かって言ってよ。

これ以上、私にその闇を見せないでっ……。