嘘つきの世界で、たったひとつの希望。

「……あー……」


ザワザワとする教室に私の唸り声が消えていく。

英語のテストが終わったばかりの教室は煩くて。
誰にも届かず終わると思ったのに。
隣にいたキミには聞こえていたみたいだ。


「……煩いよ和葉」

「正輝っー……もう駄目だよ私は……」


机に俯せながら、今にも死んでしまいそうな声を出せばキミは呆れた様に笑ってくる。


「そんなに出来なかったの?」

「うん、あそこもあそこも間違えた!!」

「……」


私が言えばキミは何かを考える様に黙り込んだ。
でもすぐにボソリと呟く。


「たぶん、大丈夫だと思う」

「え?」

「間違えた所が明確に分かるなら大丈夫。
きっといい点数になったよ」


優しく笑う正輝。
他の誰かが言ったら慰めに聞こえるかもしれないけれど。
キミが言うと自信が出てくるんだ。


「……うん……ありがとうっ……」

「別に?思った事を言っただけだし。
それより、次のテストがあるからいつまでも唸ってないで勉強しなよ」

「うん!!」


さっきまで馬鹿みたいに落ち込んでいたのに。
キミの言葉1つで明るくなる。

単純だけど。
それでもいい。

日本史を勉強するために取りだしたのは、教科書でも授業のノートでもなく、キミがくれたノート。

最後の追い込みで熟読をする。


「……」


隣から視線を感じて、チラリと目線だけを向ければ。
優しいキミの顔が私を見つめていた。

言葉は交わさなかったけれど。
2人の間には通じる何かがあったんだ。