嘘つきの世界で、たったひとつの希望。

「さて、やりますか」


正輝と別れて、机に向かう。
鞄から正輝がくれたノートを取り出しペラペラと捲っていく。


「わっ……」


そこにはいつ見ても綺麗な字があって。
勉強意欲を掻き立ててくれる。

【英語】と書かれているページを開けば、英文がズラリと並んでいた。
でも、私が直ぐに目を逸らさないのはキミの優しさのお蔭だ。
所々にポイントが書かれていて。
英語の先生なんかより、ずっと分かりやすい説明。
英語嫌いの私にも理解が出来る様に言葉も選んでくれるし。
本当にキミは凄い人だと思う。

こんなにしっかりとしたノート。
作るのに時間が掛かったに違いない。

そう思うと申し訳ない気持ちは広がるが。
嬉しさも負けずに広がっていく。


「ありがとうっ……」


文字を撫でてポツリと呟く。


「本当に100点取れちゃうかも」


この自信はどこから来るのだろう。
自分でも呆れてしまうけれど。
私は本気で取れると思う。

だってキミの優しさが詰まったノートがあるんだから。

ギュッとノートを胸に押し付けて目を瞑る。

きっと、大丈夫。

そう言い聞かせて口角を上げた。


「よっし」


再びシャーペンを持って勉強を再開する。
カリカリと軽快な音だけが私の部屋に響き渡っていた。