嘘つきの世界で、たったひとつの希望。

「……和葉」

「ん?なーに?」


首を傾げればキミは少し身を乗り出して手を伸ばしてきた。
よく分からなかったけれど私も同じ様に手を伸ばす。


「あっ……」


ぎゅっと掴まれた手。
キミの温もりが私の心を包み込んで。
自然に頬が緩んでいく。


「何を抱え込んでるのか知らないけど。
アンタには俺がついてる。
俺が和葉を守るから、アンタはいつもみたいにヘラヘラ笑ってなよ」

「……正輝……」


キミの顔は優しく緩んでいたけれど。
その言葉は真っ直ぐに私に突き刺さった。

わざわざ言葉の真偽を確かめなくても。
キミの言葉は本物だって分かる。

だってこんなにも温かい手をしている人が。
私を見つめてくれる人が。

嘘なんか吐くはずがないのだから。


「分かったら、さっさと勉強しなよ。
赤点でも取ったらどうなるか……分かってる……?」


さっきの優しい顔とはうって変わった怪しい笑み。
でも、それすらも私を癒していくれる。


「プレッシャーかけるとか最低ー」

「うるさいよ」

「ははっ!
まあ、教えれくれる先生がいいからね!
100点だって取れちゃうかも!」

「調子に乗らない」

「はーい」


手を繋ぎながらいつもの様にキミと話す。
他の人にとっては何でもない事かもしれないけれど。
私にとっては大切な事なんだ。