「ちょっと待って……意味が分からな……!?」


さっきまで少し離れていたキミの体はいつの間にかピッタリと私にくっついていた。
背中に回ったキミの腕が力強く抱きしめてくれる。
戸惑う私にキミは優しく囁くんだ。


「好きなんて言葉じゃ表せないくらい。
……アンタを愛してる」


他の人が言うとキザな台詞に聞こえるけれど。
キミが言うと凄く照れ臭いんだ。


「ズルい、正輝って」


嘘がつけないって事は。
裏を返せば本当の事しか言えないって事。

だから正輝の言葉はいつだって。
私の胸を弾ませるんだ。


「ズルくたっていい。
アンタが俺を好きでいてくれるなら」


正輝と一緒にいたら。
私はいつか死んでしまうかもしれない。
恥ずかしくて、心臓がいくつあっても足りないんだ。


「……本当にズルい」


正輝はふっと笑うとゆっくりと私の唇に自分の唇を重ねた。

2人の気持ちが通じ合って。
初めてのキスだった。

そんな事を考えていればある事を思い出す。


「……学校の不思議伝説、その3」

「え?」

「屋上でキスした2人は永遠に結ばれる」

「……その伝説って当たるんだね」

「……信じればね」


クスッと笑ってお互いを見つめ合う。


「信じるよ、俺は。
だってアンタとずっと一緒にいたいから」

「……私も……」


自然に引き寄せられる顔。
少しでも近付きたくて、背伸びをしてキミの頬に手をあてた。
温かいその温もりにゆっくりと目を閉じる。