「そんな彼が!勇気を振り絞って君に想いをぶつけたんだ!
和葉ちゃんはそれに応えるべきだろう!だから2度とごめんなんて言葉を言うな!」


先生の哀しそうな叫び声が病室へと消えていった。

本当は、私も分かっている。
正輝が命がけで伝えてくれた想いが……。
どんなに重みのある言葉か、だって事くらいは。

だけど。


「死んじゃったら……返事すら出来ないじゃんっ……」

「っ……」


正輝は死なない。
そう私は信じている。
先生もそれが分かっているからこそ、私の言葉を訂正させようとはしなかった。
ただ苦しそうに、私と正輝を見つめていた。


「どんなにキミの事を想ってたって……。
どんなに好きだって言ってたって……今のキミには届かないじゃん……」


正輝の手を握りしめて。
ただひたすら泣いた。
涙はいつまでたっても枯れなくて。
体中の水分だけがなくなっていく様な気がしたんだ。


「和葉ちゃ……っ……」


先生が声を掛けるのも躊躇うほど。
私は泣きじゃくっていた。


「正輝!!」


そんな時、扉が開く音と共に正輝のお母さんが入ってきた。
私と先生を見ると頭を下げてくれたけど。
すぐにこちらに駆け寄ってくる。


「和葉ちゃん!正輝は一体……何があったの!?」

「……私の……」

「え?」

「私のせいですっ……」


それ以上、何も言えなくて深く頭を下げて先生の方を見た。


「後はお願いします……」


耐えきれなくてなって先生にすべてを任せて逃げ出した。
正輝の傍にいたかったけれど、あれ以上、あそこにいたら頭がおかしくなる。
哀しみで、辛さで。
きっと自我が保てなくなるから。