嘘つきの世界で、たったひとつの希望。

「じゃあ証明してみろよ」

「え?」

「一ノ瀬が嘘をつくと死ぬって事を証明してみろよ」


加藤くんの言葉にまたもや『んー』と呻き声を上げた。
証明と言われたって、どうやってやればいいかなんて分からない。


「ホラ出来ないじゃねぇか!」

「一ノ瀬は嘘つきだ!!」

「うーそつき!うーそつき!」


加藤くんの言葉にクラスメートは騒ぎ出した。

それを聞いた瞬間に、眉間にシワが寄ってくる。
何も知らないくせに軽率な言葉で正輝を傷付けるな。
グッと拳を握りしめて皆を睨みつけた。
相当、怖い顔をしていたのだろう。
『うっ』と黙り込む皆。
再び沈黙が教室を包み込んだ。


「分かった、じゃあ私が証明する」

「ふっ」

「でも、正輝の事はどうやって証明することが出来るかは分からない」

「はあ?」


馬鹿にするような声が耳に届く。
まあ、いきなりこんな事を言われても訳が分からないだろう。
私もこの方法で納得して貰えるなんて思ってもいないし。
でも、正輝の事を悪く言われたまま引き下がれるほど、私は大人じゃないから。
にっと口角を上げて加藤くんと皆を見渡した。


「私も正輝と同じなの」

「は?白石も嘘をついたら死ぬってか?」


ケラケラと笑う加藤くんとクラスメート。
山本くんは心配そうに私を見ていて、正輝はハッとした様に目を見開いた。
私がやろうとしている事が分かったみたいだ。
でも、止まることなく私は口を開く。


「ううん、私は嘘をついても死なない。
……だけど、人の心の声が聞こえる」


そう。
私には心の声が聞こえる。
それを証明する事で、正輝の事を信じて貰えたら幸いだ。