嘘つきの世界で、たったひとつの希望。

「……」


加藤くんは無言で皆を睨みつけた。


「(ぶっ殺す)」


心の声なんて聞こえなくてもそれが分かるような目つきだ。
皆は目を丸めてぎゅっと唇を噛み俯いてしまう。


「(あの目……やばい……)」

「(逆らったら殺される!!)」

「(あんな奴大嫌いだけど、従うしかないんだよ!)」

「(ごめんな、白石)」


皆の恐怖の声が頭の中に響き渡った数秒後。


「ふざけんなよ!俺たちが加藤の事を嫌いな訳ねぇだろ!?」

「そうだ!お前女のくせに生意気だぞ!!」

「そうよ!アンタ加藤くんに謝りさなさいよ!」


正輝と山本くん以外のクラスメートの怒鳴り声が私に響いてくる。

やっぱり、人間なんてくだらない。
そう思わずにはいられなかった。


「おい、止めろお前ら!」


止めたのはクラスのリーダーの加藤くんだった。
満足そうな彼は笑いながら私を見ていた。


「お前の見当違いだったみたいだな」


ニヤリと下品な笑みを無視していれば、座り込んだままの私に手を差し伸べてきた。


「白石、俺は優しいから許してやる。
その代わり、裏切り者の山本と一ノ瀬から離れて俺たちに着け」

「……」

「皆もそれでいいな?」

「あ、ああ!」


加藤くんの言葉に皆は作り笑顔を浮かべていた。
彼に嫌われない様に必死なんだ。
このクラスで生きる為には、それしか方法はないんだ。


「……」


それは私もこのクラスの一員だから十分に分かっているつもりだ。
だけど。