嘘つきの世界で、たったひとつの希望。

それに背中を押される様に口を開いた。


「格好悪くなんてない。
1番格好悪いのは真実を押し隠して……。
苦しいのに苦しいと言えずに、誰にも助けを求めれずに、自分の殻に閉じこもる事だよ!」


一瞬だけ山本くんと少し前の自分が重なって見えた。

もう苦しまなくたっていい。
そう想いを籠めて口角を引き上げる。


「(白石……)」


彼の哀しそうな声が頭の中に響く。
でもすぐにその声は消えてなくなっていくんだ。


「何だよ!白石まで山本の事を疑ってるのかよ!?」

「ふざけんなよ!!」


怒鳴り声と共に男子たちが私に近付いてくる。
掴みかかられそうになるけれど、素早く立ち上がった正輝に守られる。
パシリと音を立てて男たちの腕を掴む正輝。


「俺には何をしてくれても構わない。
だけど、和葉に手を出したらただじゃおかない。
前に忠告しなかったっけ?」


キミの無表情で冷たい顔を久しぶりに見た気がした。


「何を偉そうに……嘘つきのくせに生意気……」

「もうやめろよっ!!」


男の声を遮って、大声が教室へと響き渡った。

皆の視線がそっちへと向く。

私も同じ様に見ればそこには山本くんがいる。


「どうしたんだよ山本!?」

「俺たちはお前の為に……」


男たちが山本くんに手を伸ばすけど、その手は彼には届かなかった。
虚しい音を立てて弾かれた手。
男たちが呆然と立ち尽くす中で、山本くんはたった1人で闘おうとしていた。