嘘つきの世界で、たったひとつの希望。

「大丈夫、私が何とかする」

「え……」


自然に言葉が口から出た。
さっきまで何をしていいかなんて全く分からなかったけれど。
キミの震えた姿を見て漸く気が付いた。
驚いた顔で私を見つめるキミに笑顔を向ける。


「正輝は間違った事はしていない。
それでもキミが心を痛めるなら私が山本くんを救って見せるから」

「和葉……」

「それにこのまま放って置けない……」


哀しそうな山本くんの声が頭に思い浮かぶ。

もう、誰かが傷つくと所なんて見たくないんだ。


「……アンタは……やっぱり強いね」


フッと笑みを見せてくれる正輝。
でもその顔はどこか哀しそうだった。


「強くなんかないよ。
でも、キミが隣にいてくれるから……」

「和葉?」


私の顔を覗き込むキミ。
それを見ながら黙ったまま強く拳を握りしめた。

私は強くなんてない。
弱虫で、逃げてばかりだった。

だけど。
正輝が傍にいてくれる、それが私の力になるんだ。


「正輝がこうして私の隣にいてくれるから、私は強くなりたいって思うの!」


照れた様に笑って私はキミから顔を逸らす。
恥ずかしくて正輝の顔を見ていられないもん。


「うっ!?」


ポリポリと頬を掻いていれば、いきなり息苦しくなった。
何故なら首元に思いっきり抱き着かれたせいだ。


「……ありがとう……」


震えたキミの声。

胸は苦しかったけれど、心はいやに軽かった。


「どういたしまして」


明るい声が、冬の空へと消えていく。

カラッとした澄んだ空気、鮮やかな青。
まるで私たちの行く末を表している様にキラキラと輝いていた。