嘘つきの世界で、たったひとつの希望。

「正輝っ!!」

「本当に馬鹿だねアンタって」


梯子を上ってキミと同じ場所に立つ。
それと同時にキミに抱き着いたんだ。

細いのに逞しいその腕に抱きしめられながら。
タガが外れた様に泣きじゃくる。

さっきも嫌というほどトイレで泣いたのに。
それでも溢れ出てくる涙。

震える体も、恐怖に憑りつかれた心も。
キミが全部を受け止めてくれる。


「馬鹿じゃ……ないもん……」


掠れた声で、精一杯に否定をする。


「『もん』って可愛い」

「から……かわないでよ」

「からかってないよ」


ポンポンと撫でられる背中。

正輝の手は大きくて、安心するんだ。

キミの胸板に顔を埋めて。
ただ体温を感じていた。

今、私は確かに生きている。

何の為に生まれてきたとか、何の為に生き続けているのかとか。
正直に言えばよく分からないけれど。

私は生きているんだ。

キミと一緒に。