そこらへんの女子がほっとかないだろう、イケメンくんだったから。
まああんなこと考えたけど、実際興味はない。
「……あ、えーっと、大丈夫でした?」
「うん、大丈夫」
そう言って微笑んでくれた。
“それじゃ、これで”って帰ろうとしたとき、もう1人の違う声が聞こえた。
「あ!お前!」
「…え?」
今まで気付かなかったけど、もう1人いたみたいだ。
……あれ?この人、たしか…
あ、思い出した。
「校舎裏でやってた人だ」
……………………。
……………。
うん?
私の一言で数秒の沈黙が生まれた。
「はっきり言うんじゃねーよ!邪魔したくせに!」
……は?
「あの、私邪魔してないんで変な言いがかり止めてください。まずあんなところでするのがおかしいでしょ」
「くっ、なんだお前!俺に口答えすんのかおい!」
なに?この人…
「お前じゃなくて私には如月莉子っていう名前あるんで。…じゃあ私はこれで失礼します」
もう1人にも一応お辞儀してその場を去った。
その時1人の男が、「如月莉子ねぇ」と静かに呟いていたのは誰も知らないーーーーー…
