風便り〜大切なあなたへ〜






教室には戻らなかった。

・・・戻れなかった。

守屋くんは屋上まで私の手を引いてくれた。

私はその間、守屋くんの手をぎゅっと握っていた。



「真子」


「・・・」


「顔、上げてくれ」


「・・・」



守屋くんにそう言われ、私は俯けていた顔を、ゆっくり上げて守屋くんを見た。

守屋くんは辛そうな顔で、私を見ていた。


嫌だよ・・。

守屋くん、そんな顔しないで・・?

守屋くんのそんな顔、もう見たくないよ・・。



「・・守屋くん・・ごめんね・・」


「・・なんでお前が謝んだよ」



そう言った守屋くんの顔に、私はそっと片手を添えた。

守屋くんは、私の添えた手に、手を重ねて優しく握ってくれた。

・・だけど、守屋くんはさっきよりも辛そうな顔をしていた。


どうしてそんな顔するの・・?

嫌だよ・・守屋くん・・。

そんな顔しないで・・。



「守屋くん・・そんな顔しないで?守屋くんの辛そうな顔なんて、もう見たくないよ・・」



私がそう言うと、守屋くんはぎゅっと強く、私を抱きしめてくれた。

抱きしめられた腕が少し痛かったけど、そんなのどうでもよかった。



「・・守屋くん、泣いてるの?」



守屋くんが小さく震えているのが伝わってきた。



「泣いてねえよ・・」



そう言った守屋くんの声は、少し震えていた。

私は、守屋くんの背中を優しくさすった。

すると、守屋くんはさっきよりもぎゅっと私を抱きしめてくれた。


守屋くん・・。

泣かないで・・。


私もぎゅっと、守屋くんを抱きしめた。

そっと閉じた目からは、大粒の涙が溢れてきた。



「守屋くん・・」


「俺が、お前を守る・・だからもう、何も我慢するな」



辛そうな声で守屋くんにそう言われ、鼻の奥がツンとして、胸が苦しくなった。

どんどん涙が溢れてきて、私は声をあげて泣いた・・。