風便り〜大切なあなたへ〜






・・息が詰まった。

変な動悸がして、肩が震えた・・。

胸のあたりが苦しくなって、目の前が霞んで見えた・・。

私は先生から数歩下がって、自然と距離をとった。

あの時のことが、鮮明に思い出されて、目の前の先生が、怖かった・・。

そのまま私は、足がすくんでしまった・・。



「真子!」



守屋くんは私を守るように、横から手をかざして、先生を睨みつけた。



「こいつに近づくな」


「・・・」



すぐ横にいる守屋くんの声が、遠くに聞こえた。


守屋くん・・。



「・・・」


「・・早く教室に戻れ」


「他に言うことはねえのかよ」


「・・・」


「・・・」



短い沈黙が流れた。

私も何か言おうと思ったけど、喉のあたりに何かが詰まっているようで、何も言えなかった・・。



「・・小林、話がある。放課後、教室に残ってくれ」


「・・・」



私は口を開いたけれど、声が出てこなくて、また閉じた。

そのかわりに、小さく頷いて返事をした。



「二人にはさせねえからな」


「・・・ああ、お前も残ってくれ」



それだけ言って、先生は行ってしまった。

廊下には、私と守屋くんだけが残された。

静かな廊下に、チャイムが響き渡った。



「・・・真子、大丈夫か?」



守屋くんは、心配そうに私の顔を覗き込んだ。

私は、守屋くんの顔を見て安心したのか、何かが切れたように涙が溢れてきた。



「守屋くん・・こわっ、怖かった、よ・・・」


「・・・っ」



守屋くんは何も言わずに、ぎゅっと私を抱きしめてくれた。

私は、守屋くんにしがみついて泣いた。

次から次へと流れてくる涙は、胸のあたりの苦しかったものを、一緒に洗い流してくれたような気がした。

守屋くんは、私が落ち着くまで、優しく頭を撫でてくれた。