風便り〜大切なあなたへ〜






次の日の朝、玄関のドアを開けると、守屋くんがいた。

呼び鈴を押そうか迷ってるみたいだった。



「おはよう」


「・・おう」



そう言って守屋くんは、恥ずかしそうに呼び鈴に伸ばしていた手を引っ込めた。



「笑ってんじゃねえよ」


「だって、前にも同じことあったから・・」



私は、おかしくて笑った。

守屋くんは、小さく頭をかいて照れているようだった。


守屋くん可愛い・・。



「・・おいてくぞ」



いつまでも笑っている私をおいて、守屋くんは歩き出した。

私は急いで守屋くんのあとを追って、大好きな手を握った。

守屋くんは、私の手を優しく握り返してくれた。



「ごめんね・・」


「・・・うるせえよ」



ぶっきら棒にそう言うと、守屋くんはつないでいない方の手で、私の頭をくしゃっと優しく撫でてくれた。

嬉しくて、私は守屋くんが撫でてくれた頭を触った。

頬が自然と緩んだ。



「・・お前、大丈夫なのかよ?」


「え?」



急に、守屋くんは真剣な声で言った。

私は守屋くんを見た。



「あいつ、今日はくるんじゃねえか?お前は大丈夫なのかよ?」



そう言って守屋くんは、私の顔を覗き込んだ。

私は少し俯いた。


正直に言うと、先生に会うのはまだちょっと怖い・・。

でも、隣に守屋くんがいてくれるから、私、大丈夫だよ?



「・・うん、大和がいてくれるから大丈夫。私、怖くないよ?」



そう言って、笑顔で守屋くんを見ると、守屋くんは、ちょっとびっくりしたような顔をしたあと、優しく微笑んだ。



「お前、意外と強えな」


「そんなことないよ・・大和がいてくれなかったら、私、学校に行けないと思う・・」



本当だよ?

守屋くんは、私のヒーローだから、一緒にいてくれるだけで、それだけで私、心強いんだよ・・。


それから、いつもの土手でタンポポを触った。

風に揺れて、今日も元気に生きている。

小さなライオンは、小さく私に笑ってくれた。

大丈夫だよ。

そう言ってくれたような気がした。