風便り〜大切なあなたへ〜






家に帰ったのは、19時を回ってからだった。


今日一日、学校をサボっちゃったけど、いつもより、大和と濃い時間を一緒に過ごせて、すごく幸せだった・・。

辛い話もあったけど、前よりも大和の事が知れて、すごく嬉しかったよ・・。


晩ご飯を食べ終わって、部屋でのんびり過ごしていると、携帯が鳴った。



「・・だれ?」



着信を見てみると、知らない番号からだった。

私は、出ようか迷ったけど、知らない番号だし、放置することにした。

だけど、何分たっても鳴り止む気配はなかった・・。

私は緊張しながら、通話ボタンを押した。



『・・もーー・・』


『遅え。出るなら、もっと早く出ろよ』



聞き覚えのある声が、私の言葉を遮って聞こえてきた。

私は携帯を、ぎゅっと握った。



『結城さん・・?』


『なんだよ・・ああ、そうか。番号消したんだったな?』


『・・・』


『また黙りかよ。まあいいけどよ』



そう言って結城さんは、電話の向こうで笑った。



『今日、香月さんと会ったんだろ?何もされなかったか?』


『え?』


『お付きの奴から聞いた。これでも俺、お前のこと心配してんだよ』


『・・・大丈夫、だったよ?・・ありがとう・・』



一応、心配して電話してくれてるんだよね・・?

ちゃんと、お礼は言った方がいいよね・・。



『・・・お前って、すげー正直っつーか、素直だよな』


『え?』


『嘘がつけねえっていうか・・ありがとうも、ごめんなさいも、なんの躊躇もなく言うよな』


『・・・』



それは、普通のことなんじゃないのかな・・?



『俺はそんな素直に言えねえから、羨ましいよ』


『・・・言ってるよ?』


『は?』


『今、羨ましいって、素直な気持ち、言ってる・・』


『・・・』


『・・・』



少しの間、沈黙が流れた・・。

沈黙を破ったのは、結城さんの笑い声だった。


なんで急に笑い出したの・・?



『あー・・うける・・・やっぱ俺、お前好きだわ』



少し笑いが収まると、結城さんは真剣な声でそう言った。



『・・・私は、好きじゃーー・・』


『言うなよ』



ないって言おうとしたら、結城さんに遮られた。



『分かってんだよ。お前が守屋だけを見てるのも、俺の存在が迷惑なのも』


『・・・』


『だけど、お前だって分かるだろ?好きな奴に、振り向いてもらいたい気持ちは・・』


『・・・』


『お前が守屋だけを見るように、俺はお前だけを見てるんだよ』


『・・・』


『お前にとって、俺の存在が、どれだけ迷惑でも、邪魔でも、俺はお前が欲しい』