風便り〜大切なあなたへ〜






次の日の朝、朝ご飯を食べている最中、家のチャイムが鳴った。



「あら、誰かしら?」


「お母さん、私、出るよ」



大和かな?

いつもより早いし、チャイムを鳴らしたことなんて、一回しかなかったけど・・。


私は、笑顔でドアを開けた。



「大和?」


「・・よう」


「・・・」



私は、目の前の人物を見て、ドアを閉めようとした。

だけど、手と足をドアの隙間に挟まれて、そのままドアを無理やり開けられた。



「ひでーな。挨拶くらいしろよ」


「・・・おはよう、ございます」


「素直だな」



そう言って結城さんは笑った。

私は怖くて、体が震えた。



「・・・なんで・・」


「言っただろ?正々堂々と奪いに行くって」


「・・・」


「また黙りかよ?」



そう言うと、結城さんはまた笑った。


やっぱり結城さんの笑顔、ちょっと大和に似てる・・。


結城さんを見ると、私と同じ学校の制服を着ていた。


まだ、一緒の高校に通ってたの・・?

あの日以来、見たことないけど・・。



「そんなに怯えんなよ・・もう、あんなことはしねえよ」



結城さんは、真剣な顔をした。



「・・・」



そんなの、信じられないよ・・。

目の前で結城さんを見ると、やっぱり怖い・・。

大和・・。

大和、早く来て・・。



「・・・怯えた顔も、いいね」


「・・・」



私は怖くて、背筋に寒気を感じた。

胸が苦しい・・。

息が出来ない・・。


怖い・・。

やっぱりこの人、怖いよ・・。


そう思ったら、涙が頬を伝った。



「俺のために、泣いてくれてるのか?」


「・・っ・・」



なに、言ってるの・・?



「俺が怖いんだろ?その涙は、俺への恐怖から出た涙なんだろ?俺のことを思って、出てきた涙なんだろ?・・嬉しいよ」



結城さんはそう言いながら、私の顎を持ち上げた。


やめてっ・・。

触らないで・・。

やっぱりこの人、どっかおかしいよっ・・。


私は怖くて、目をぎゅっと閉じた。



「真子に、さわんな」



その瞬間、私の顎に触れていた、結城さんの手が払いのけられた。

低くて、安心する、大好きな声。

私は目に涙を溜めて、声のした方を見た。



「・・大和っ・・」