風便り〜大切なあなたへ〜






私は電話を切ると、結城さんの番号を削除しようとした。

だけど、私は削除するのに少し戸惑った。


最低な人だったけど、そこまで悪い人じゃなかった気がする・・。

あんな事されたけど、ちゃんと約束は守ってくれてたんだよね・・。

最後にちゃんと、お礼を言っといた方がいいよね・・?


私は番号を削除する前に、結城さんに電話をかけた。

なんだか少し、緊張する・・。



『・・なんの用だよ?』



結城さんはすぐに出てくれた。



『あの・・』



私の声は、やっぱり少し掠れて、震えていた。

だけど、ちゃんと伝えないと・・。

この三ヶ月、幸せな毎日を送れたのは、結城さんのお陰でもあるんだよね・・?



『あの・・番号を削除する前に、お礼を言いたくて・・』


『は?』


『・・約束、守ってくれて、ありがとうございました』


『・・・』


『それと、今回の事も、教えてくれて、ありがとうございます・・』


『・・・』


『これから、どうなるかわからないけど、この三ヶ月は、大和と幸せに過ごせました・・』



とりあえず、言いたいことはちゃんと言えた・・。



『・・お前、バカだろ?』



電話の向こうから、笑い声が聞こえてきた。



『・・・』


『普通はそんなこと、わざわざ言わねえんだよ。お前変わってるな』


『うん・・・私、変わってる・・』



私は小さく笑った。


大和にも、よく言われる・・。

お前、変わってるなって・・。



『・・お前、俺の前でも、笑ってくれるんだな』


『え?』


『俺、お前に、酷いことしたのに・・』


『・・・』



確かにそうだけど、私には、ずっと大和がいてくれたから・・。

だから、もういいよ・・。

結城さんのお陰で、また大和と、付き合えたようなものだしね・・。



『・・悪かった』


『え?』



電話の向こうから、申し訳なさそうな声が聞こえてきた。



『俺、お前の泣き顔に惚れたんだよ・・あの時の俺は、お前のこと、必死で手に入れたかった・・どんな手を使ってもな』


『・・・』


『この三ヶ月で、お前のこと忘れられると思ったけど、やっぱ、無理だわ』


『え?』


『こんな電話してきやがって、忘れられねえよ』


『・・・』


『もうあんな酷いことはしねえから・・今度は、正々堂々とお前のこと、奪いに行く』


『え?』



なんだか、話が変な方向にいってる気がする・・。



『俺の番号、消してもいいけど、俺はお前の番号、消さないからな』


『・・・』


『じゃあな』



それだけ言うと、結城さんは携帯を切った。