風便り〜大切なあなたへ〜






それから大和の家に着くと、大和は本当に何もしてこなかった・・。


キスくらい、してくれてもいいのに・・。

ちょっと寂しいよ・・。



「もう、寝るか」


「うん・・」


「ほら、来いよ」



大和はそう言うと、私の手を引いて、ベッドに入った。



「・・・」


「安心しろ、何もしねえよ・・お前の母ちゃんと、約束したからな」


「うん・・」



私はベッドに入って、横になった。

大和は、優しく私の手を握ってくれた。


大和・・。

本当に何もしないんだね・・。

いつもみたいに、ぎゅっと抱きしめてほしいよ・・。



「大和・・」


「なんだ?」


「抱きしめるのも、だめ・・?」


「・・・ダメ。俺が我慢できなくなる」


「・・・」



そうだよね・・。

大和も我慢してくれてるんだよね・・。



「ごめんね・・」


「そんな顔すんなよ。俺だって本当は、お前を抱きしめて寝てえよ・・」


「・・・」


「だけど、ここで裏切ったら、俺、もうお前の母ちゃんに合わす顔ねえよ・・悪いけど、お前も我慢してくれ・・な?」


「うん・・ごめんね、大和・・」



こんなにも大和が近くにいるのに、手を握るだけなんて、そんなの物足りない・・。

大和を抱きしめたいし、大和にぎゅっと抱きしめてもらいたい・・。

夏なのに、体が冷えてる気がする・・。

大和に温めてもらいたいよ・・。

・・だけど、私が、こんなこと言ったら、ダメだよね・・。

大和だって、我慢してくれてるんだもん・・。

大和と、一緒にいれるだけで幸せなことなんだから、それだけで、お母さんに感謝しなくちゃ・・。


私は寂しい気持ちを紛らわすため、大和の手を、ぎゅっと強く握りしめた。

大和もぎゅっと握り返してくれた。



「大和・・おやすみ」


「おやすみ・・真子」