風便り〜大切なあなたへ〜






「真子!」



叫び声と同時に、勢いよく部屋のドアが開いた。

低くて、安心する、大好きな声・・。

私は体を起こして、ドアの方を見た。



「・・・・大和っ・・・」



どうして?

どうして、いるの・・?


私は大和の顔を見て、胸の奥が熱くなった。

それから苦しくなって、また涙が込み上げてきた。



「お前、なんで携帯の電源切ってんだよ!」



大和の怒鳴り声が、部屋中に響いた。



「ちょっと、守屋くん!今日は・・」



そう言ってお母さんが、大和の腕を優しく掴んだ。



「すみません、ちょっと真子と、二人にさせて下さい」



そう言って大和は、お母さんに頭を下げた。



「・・・そうね」



お母さんは心配そうな顔をして、部屋を出て行った。

大和は私の方まで来ると、私を強く抱きしめた。



「っ・・大和っ・・」


「なんで電話、出ねえんだよ」


「・・っ・・」


「なんでこんなに、目、腫らしてんだよ・・」


「・・っ・・・」


「なんで、泣いてんだよ・・真子・・」



「・・・っ・・」



大和の声は、だんだん弱々しくなっていった・・。


なんで来たの・・?

今日は行けないって、送ったのに・・。



「真子・・」


「・・っ・・」


「昨日の電話が、原因か?」


「っ・・・」


「言えよ」


「・・っ・・あの人、だれっ・・?」


「やっぱ、あいつか・・」



そう言って大和は、大きなため息をついた。

私は、大和にしがみついて、目に涙をいっぱい溜めながら、大和を見上げた。



「っ・・だれ、なの?・・っ・・どうして・・大和の、携帯からっ・・女の人が、かけてっ、きたの・・?」


「真子・・」


「・・いつも土曜日はっ・・何して、いるの?・・っ・・なんでっ・・何も言って・・くれない、の・・?」


「・・・」


「っ・・いつも・・あの人と・・いるのっ?・・っ・・あの人の、こと・・好きなのっ・・?」



違う・・。

こんなこと、言いたいんじゃない・・。



「ちげえよ・・」



言いたくないのに・・。

なのに・・。



「・・私の、ことは・・もうっ・・好きじゃないっ?・・っ・・好きじゃ・・なくなったっ・・?」



もう、止まらないよ・・。



「そんなわけねえだろ!」



そう言って大和は、ぎゅっと強く、私を抱きしめた。


痛いよ、大和・・。

心も、体も、頭も、全部痛いよ・・。