風便り〜大切なあなたへ〜






その日の夜、珍しく大和から電話がかかってきた。

私は緊張しながら、通話ボタンを押した。



『もしもし・・?』


『もっしもーし!』



え・・・だれ・・?


電話の向こうから聞こえてきた声は、大和の声じゃなくて、聞いたことのない女の人の声だった・・。

私は、携帯を持っている手が震えた。



『お前、勝手にかけんなよ』



遠くの方から、大和の声が聞こえてきた。



『大和・・・?』



『ッー・・』



私が大和の名前を呟くと同時に、電話が切れた・・。


なに・・?

・・今の・・。

だれ・・?

・・あの人・・。


私は胸が苦しくなって、息がうまくできなくなった・・。

目頭が熱くなって、鼻の奥がツンとした。

私は込み上げてくる涙をこらえられずに、ぎゅっと目を閉じた。

ぎゅっと閉じた目からは、大粒の涙が溢れてきた・・。


しばらくして、携帯が震えた。

着信の名前を見ると、大和からだった。


こんなんじゃ、出られないよ・・。

電話に出ても、またさっきの人からかもしれない・・。


私は怖くなって、電話に出なかった。

長い間、携帯のバイブが鳴っていたけど、私は怖くて、携帯を枕の下に隠した。


大和・・。

今日は用事があるって言ってたのに・・。

もしかして、あの女の人と、ずっと一緒にいたの・・?

土曜日は、ずっとあの女の人と一緒にいるの・・?

あの人は誰なの・・?

・・大和・・。


その後、何回も大和から電話がかかってきたけど、私は怖くて出れなかった・・。

私は、部屋でずっと一人で泣いていて、朝まで涙が止まらず、全然寝られなかった・・。

今日は大和と、水族館に行くはずだったのに、こんな顔じゃ行けないよ・・。

私の顔は、泣きはらした顔で、目がすごく腫れていて、普段の私の顔とは全然違った・・。

それに、泣きすぎたせいか、頭も痛い・・。

私は大和にメールを送って、携帯の電源を切った。



『大和、ごめんね。今日は行けない』



それだけ送ると、また涙が溢れてきた。

私は枕に顔をうずめて、また泣いた・・。