風便り〜大切なあなたへ〜






「大和、どこ行くの?」



学校を出ると、大和はいつもとは違う方向に歩き出した。

私の家とは正反対の道・・。



「俺の家」


「え?」



「言っただろ?俺を心配させといて、ただで済むと思うなよって。お仕置きしてやる」


「え・・」


「いいから、黙ってついて来い」



そう言うと、大和は私の手をぎゅっと強く握りしめた。

大和を見ると、やっぱり少し怒っているように見えた。


ごめん、大和・・。

心配かけて・・。

脱水症状になるまで、泣いたことなんて、私、今までなかったんだよ・・。

大和のプロポーズが、嬉しくて、嬉しくて、本当に嬉しかったから、涙が止まらなかったんだよ・・。

私、泣き虫でごめんね・・。

心配かけてごめんね・・。

だけど、こんなに泣くのは、大和にだけだよ・・?

だから、お仕置きなんて嫌だよ・・。

今日は私の誕生日なのに・・。



「大和・・」


「うるせえ」


「・・・」



それから大和は何も話さなかった。

私もなんだか、話せる雰囲気じゃなかったから、何も喋らなかった・・。

何処かの木から、蝉の鳴き声が響き渡っていた。

生暖かくて、纏わり付くような風が、暑さを倍増させた。

ぎゅっと握っていた手には、汗が滲んでいた。


大和の家につくと、大和はそのまま私を二階の大和の部屋に連れていった。

ここに来たのは、今日で二回目。

モワッとした空間に、大和がエアコンのボタンを押した。



「座れ」



そう言って大和は、前と同じように、ベットに深めに座ると、足を広げて、私に、間に座るようにベットを叩いた。



「・・・隣に座っちゃ、だめ?」


「ダメだ」



そう言うと大和は、前の時と同じように、私の手を引いて、無理やりそこに座らせた。

その後すぐに、大和は後ろから、ぎゅっと私を抱きしめた。



「忘れてねえだろ?あの時のこと」


「うん・・・だから、お仕置きは嫌だよ・・」


「嘘つけ、あんなに喜んでたくせに」



大和は耳元でそう囁くと、フッと私の耳の中に、息を吹きかけた。



「ん・・」


「・・あいかわらず、耳弱えな」