風便り〜大切なあなたへ〜






それから、大和と他愛もない話をして、お昼を過ごした。

ご飯を食べ終えて、お弁当を片付けていると、大和が私の手を掴んで、私の手を止めた。



「大和?」


「真子、手かせ」


「え?」



そう言うと大和は、私の掌を上に向けて、何かを握らせた。

小さくて、硬い物を手の中に感じる。

私は不思議に思って、大和を見上げた。



「開けてみろよ」



私はゆっくり手を広げた。



「大和・・これ・・」



私は大和を見上げた。



「真子、誕生日おめでとう」



そう言って照れたように大和は笑った。

私の手の中には、銀色に輝く、小さな丸い形の物があった。


指輪だ・・。


シンプルなシルバーの中に、小さな赤い石が埋め込まれている。

大和は私の手から、指輪を取ると、左手の薬指にはめてくれた。

指輪はぴったり、私の指に収まった。



「お前、16になっただろ。女性は16歳から結婚できるからな。ちゃんとした婚約指輪」


「・・でも、指輪ならもらってるよ?」


「言っただろ?あれは、俺がお前と結婚してえっていう証で、俺たちの絆であり、思い出のお守りみてえなもんだよ。これは、正式な申し込み。学生の俺じゃ、こんなのしか買えなかったけど、ちゃんとした所で買ったから、安心しろよ」


「・・・」



大和を見ると、優しく微笑んでくれている。

私は胸の奥が熱くなって、何かが込み上げてきた。


ずるいよ、大和・・。


私は首につけている指輪を、ぎゅっと強く握った。

鼻の奥がツンとして、目頭が熱くなった。

私はこみ上げてくる涙を堪えきれなくなって、目から大粒の涙を流した。



「・・っ・・大和・・ありがとうっ・・」



「まだ泣くなよ・・俺のプロポーズの言葉が台無しになるだろ」


「っ・・いい、言わなくて、いいっ・・」


「あ?」


「・・もうっ、何も・・言わないっ、で・・っ・・」


「・・真子」



大和は私の名前を呟くと、私を優しく抱きしめてくれた。