風便り〜大切なあなたへ〜






「小林・・・すまなかった!」



先生は私から手を退けると、頭を下げた。

私はびっくりして、先生を見た。



「せ、先生・・?」



私がそう言うと、先生は頭を上げて、まっすぐな目で私を見た。

私はびっくりして、小さく肩が跳ねた。



「俺は、お前のことが、本気で好きだ・・だからって守屋との仲を壊そうだなんて、やっぱり俺はどうかしていた・・教師としても、人としても失格だ」


「・・・」


「二人が堅く想い合っているのは、よくわかった・・もうお前に手を出したりしない。今まで悪かったな・・」


「先生・・」


「だけど!守屋が、本当に小林を傷つけた時は、その時は、俺は容赦しないからな?そのことはちゃんと覚えとけよ?」



そう言って先生は、悪戯っぽく笑った。



「・・はい」



つられて私も笑顔になった。



「それと、俺の手紙、まだ持ってるか?」


「はい、まだ持ってます・・」


「あれはもう、捨てろ」


「え?」


「お前にはもう、必要ないものだからな」



そう言って先生は、寂しそうに笑った。



「先生・・私、先生の手紙、捨てないよ」


「え?」


「・・・だって、先生が一生懸命書いてくれたものだもん。先生の気持ちには、応えてあげられないけど・・先生が私を想って書いてくれた気持ちは、捨てないよ・・?そんなの、先生に失礼だもん」



私は先生を見て、小さく微笑んだ。

先生はまた、寂しそうに微笑んで、私の頭に手をおいた。



「小林・・お前、本当に良い子だな」


「そんなことないよ?普通だよ?」


「・・俺、お前を好きになってよかったよ」



そう言って、先生は優しい笑顔を私に向けてくれた。

私はちょっと照れ臭かったけど、私も先生に笑顔を返した。


先生の手紙は、守屋くんと約束したから読まないけど、捨てたりはしないよ。

自分の想いを伝えることって、簡単なことじゃないから・・。

私はたまたま、守屋くんとこんな風に想い合えたけど・・。

でも、もし、守屋くんが私を好きじゃなくて、渡した手紙を捨てられたら、どんな気持ちになるか、想像できるよ・・?

そんなの、辛くて、苦しくて、心が痛いよね・・。

死にたくなるかもしれない・・。

だから、私は先生の手紙を捨てないよ。