風便り〜大切なあなたへ〜






映画館につくと、私の観たいと思っていたホラー映画は今はやっていなかった。

私と守屋くんは、顔を見合わせた。



「どうするよ?」


「大和は、何か見たいのないの?」


「俺か?」


「うん」



守屋くんは眉をしかめて、しばらく考えるようなそぶりを見せると、ため息をついた。



「なんもねえな・・・」


「そっか・・」


「お前、恋愛ものとかは観ねえのかよ?」



そう言って守屋くんは、私の顔を覗き込んだ。

正直、私は恋愛ものの映画は、あんまり好きじゃない・・。

観ててこっちが恥ずかくしなるし、守屋くんと出逢うまでの私は、恋愛なんてものには縁がなかったから、観てもその気持ちがわからなかった・・。



「うん・・あんまり興味ない・・」


「お前、本当に変わってんな」



そう言って守屋くんは優しく微笑むと、私の頭に手を乗せた。



「しゃあねえ、適当なの観るか」



そう言うと、私の頭にのせていた手を、クシャクシャと動かした。



「うん」



私は嬉しくて、髪を直しながらにっこり微笑んだ。


映画館に入ると、ちょうどSFものをやっていて、私と守屋くんはそれを観ることにした。

守屋くんは、またお金を出してくれて私は胸がぎゅっと締めつけられた。

昨日の朝ごはんも、水族館代も、電車代も、今日の朝ごはんも、全部守屋くんが出してくれた・・。

私だってちゃんと出したいのに・・。

守屋くんは何かと理由をつけて、私には出させてくれない・・。

そんなの寂しいよ・・。

私、嫌だよ・・。


上映会場に入って席に座ると、守屋くんは優しく私の手を握ってくれた。

私も嬉しくなって握り返した。

映画が始まると、私はずっと守屋くんにお金を払ってもらってることが気になって、映画を集中して見れなかった・・。

映画館から出ると、私は守屋くんの服の裾を引っ張った。