風便り〜大切なあなたへ〜






私はあんまり集中してショーを見れなかった・・。

あれだけ楽しみにしてたのに・・。

守屋くんの一言で、こんなにも気分が変わっちゃうなんて・・。


私はさっき守屋くんが言っていた、どんだけ天然なんだよ、っていう言葉が気になってしかたなかった・・。

天然の意味はちゃんと知ってる。

だけど、私は天然じゃないし、そう言われたこともない・・。

変わってるとは言われるけど・・。


・・私、もしかして守屋くんに騙されてるの・・かな?

騙されてるのに気づかない、天然・・とか・・。

・・ううん、そんなわけない・・。

守屋くんが、私を騙すだなんて・・。



『あー!まーた、女の子たぶらかして、泣かせたのー?かわいそうー』



前に守屋くんと会った時、ギャルっぽい女の人が言っていた言葉が頭をよぎった。

次の日、守屋くんは、たぶらかそうなんて思ってねえからって、わざわざ言いに来てくれたけど・・。



「どうした?元気ねえな・・疲れたか?」


「ううん、大丈夫だよ」



そう言って私は守屋くんに笑顔を向けた。


私、ちゃんと笑えてるよね・・?

大丈夫だよね・・?



水族館からの帰り道、守屋くんは歩いていた足を止めた。

私は振り返って、守屋くんを見た。



「・・・」


「大和?」


「・・・俺、なんかしたか?」



守屋くんは俯きかげんで言った。



「え?」


「なんでそんな泣きそうな顔してんだよ」


「・・・」



守屋くん・・。


私は守屋くんの顔に手を添えて、守屋くんの顔を覗き込んだ。

守屋くんは少し辛そうな顔をしていた。

私はそんな守屋くんを見て、胸が苦しくなった・・。


守屋くんの辛そうな顔なんて、もう見たくないって思ってたのに・・。

こんなに私のこと心配してくれてるのに、私のこと騙そうだなんて、そんなこと守屋くんは絶対にしない・・。

・・ごめんね、守屋くん・・。

もう勝手に、不安になって疑ったりなんかしないよ・・。



「なあ、俺なんかしたか?」


「・・ううん、私が勝手に不安になってただけだから、守屋くんは気にしないで?」



そう言って私は、守屋くんにぎゅっと抱きついた。