風便り〜大切なあなたへ〜






「・・こんなやつ、やめろ」


「え・・?」


「あ?」



今まで泣いていたはずの先生が、今度は眉間にシワを寄せて怒っているようだった。


先生・・?



「お前、今、泣きたくなっただろ」


「・・・」


「小林にこんな顔させるなんて、俺は我慢できん・・お前から小林を奪ってやる」


「は?」


「小林、お前は俺が奪ってやるから、覚悟しとけ」


「え?」



そう言って先生は、私の顎を持ち上げ、強引に唇を重ねた。

私は急な出来事に、びっくりして、目を見開いた。



「ってめえ!なにしてんだよ!」



守屋くんは、先生の胸倉を掴み、先生を思いっきり殴った・・。

先生は椅子から落ち、机に頭をぶつけた。



「・・っ、目の前で、こんなことされて悔しいか?俺は本気だ」



先生は体を起こすと、守屋くんを睨んだ。

守屋くんは、頭に血がのぼってるみたいで、また先生に殴りかかろうとしている。



「や、大和・・」


「うるせえ、お前は黙っとけ」


「・・・」



守屋くん・・。


守屋くんは、私を見てくれなかった。

私は胸が苦しくなった。


やだよ・・こんな守屋くん、嫌だよ・・。

ねえ、守屋くん、私を見て・・?

守屋くん・・。



「お前のそういう態度が、小林を傷つけてるのに、お前は気づかないのか?」


「あ?なんのことだよ」



守屋くんは、また先生に殴りかかった。

だけど、今度はかわされて、逆に守屋くんが先生に殴られてしまった・・。

私は守屋くんに駆け寄って、殴られた頬に、そっと触れた。



「大和・・」


「さわんなっ・・」



そう言って守屋くんは、私の手を叩き落とした。



「・・・」



守屋くん・・。

嫌だよ・・守屋くん・・。


私は我慢していた涙が、抑えられなくなって、気がいたら涙が頬を伝っていた。



「嫌だよ・・守屋くん・・」


「っ・・・」



・・守屋くんは、なにも言わなかった。

強く拳を握って、何かを堪えているように見えた。