風便り〜大切なあなたへ〜






私は、はじめて授業をサボった。

お昼まで守屋くんと一緒に、屋上で過ごした。

地面に寝転がって空を見上げた。

土手で見た空より、屋上で見る空の方が近くて、大きく見えた。

雲が流れていく。

流れていく雲が、全部、守屋くんに見えた。

となりを見ても、守屋くん。



「ねえ、大和」


「あ?」


「あの雲、全部、大和に見えるね」


「は?どこがだよ」



守屋くんは、顔を横に向けて私を見た。

私は笑顔で、守屋くんの形をした雲を指差した。



「ただの雲じゃねえか」



そう言って守屋くんは、鼻で笑った。

私は鼻で笑った守屋くんに、ちょっとムッとした。



「そんなことないよ、大和だよ」


「・・お前、目、大丈夫か?」



守屋くんは起き上がって、今度は心配そうに私を見下ろした。

私は守屋くんに視線を向けると、優しく微笑んだ。



「大和が大好きだから、全部大和に見えるんだよ」


「・・・やっぱお前、変わってんな」



それだけ言うと、守屋くんはまた寝転がった。

私は守屋くんの手に、優しく自分の手を重ねた。



「ずっと、このままがいいね・・」


「・・そうだな」



私は目を閉じて、小さく深呼吸した。

遠くから聞こえてくる車の音と、工事の音。

優しい風が、私の髪をさらった。


ふと唇に柔らかいものが触れて、私は目をゆっくり開けた。

それと同時に、守屋くんの顔が離れていった。



「無防備すぎんだよ」



そうぶっきら棒に言って、守屋くんは意地悪な顔で微笑んだ。

私は高鳴る鼓動を抑えて、守屋くんに微笑んだ。



「大和だからだよ」


「・・・生意気だな」



そう言った守屋くんの顔は少し赤くなっていた。

そんな守屋くんが可愛くて、私は小さく笑った。