「ただいま!」 季節は初夏。 まだエアコンを使うほどではない暑さなのに、走った私は汗だくで家にたどり着いた。 玄関にある兄の靴に、嬉しくなる。 「お兄ちゃん、おかえりー!」 「おー、ただいまーひな!」 切りたてなのか、いつもより短めの髪。 少しだけ焼けた肌。 聞き慣れた声で、笑う兄。