狼な彼と赤ずきん

日付が変わる頃、私ははやる胸をおさえながら彼の寝室へ向かった。


大丈夫、大丈夫。


狐さんがそう言ったんだから、うまくいくに決まっている。


自分にそう言い聞かせながら、気づかれないようにそっと扉を開ける。


彼はすうすうと穏やかな寝息を立てながら、気持ちよさそうに眠っていた。



――今だ。



「狼さん……っ」



私は彼に駆け寄り、意を決してその唇に自分の唇を押し当てた。



「ん……」



ぼんやりと目を開ける狼。


何度か瞬きをしている様子を見るに、自分の身に何が起こったのかいまいち理解していないようだ。


しかし、数秒後。



「赤ずきん!!」



彼は大声を上げて飛び起き、狐の言ったとおり、私を避けようとした。