狼な彼と赤ずきん

記憶の糸をたどりながら、一生懸命事情を説明する。


それから先日祖母が他界したこと。


私が死のうと思って彼のもとへ向かったこと。


彼は優しく私の話を聞いてくれて、食い殺すどころかなぜかキスをしたこと……。



キスのくだりを話せば、思い返すだけで顔が真っ赤になる。


そんな私を、狐は穏やかな笑みを浮かべながら見つめている。



「でも、優しくしてくれたのはその一日だけだったわ。それからは……食事の準備とかはしてくれるんだけど、まともに話しかけてくれないし、視線すら合わせてもらえないの。だから私、嫌われたんじゃないかって思って」



話しているうちにまた不安になって震える私の肩に、彼はぽんと手を置いてくれた。