狼な彼と赤ずきん

森は複雑に入り組んでいるからまた迷子になったらどうしようかと不安だったが、幸い迷うことはなく彼の家らしき場所に到着した。


朝の森の緑を帯びた空気は爽やかで心地よかったが、そんなものは何の慰めにもならなかった。


狐の家は、小川のほとりにある、木造の小さな――小屋、と言った方が正確だろうか。


レンガ造りの狼の家とはまた趣が違うが、なかなか趣味のいい作りをしている。


庭には花が咲き乱れ、優しそうな狐にぴったりの家だと思った。



「狐さん」



コンコン、とドアを軽くノックして中へ呼びかける。



「はいはい、今行きますよ」



中から返ってきた朗らかな声。


私はほっとひと安心した。


狼に冷たくあしらわれているせいで、森の住人たち全員に嫌われているのではないかと疑心暗鬼になってしまっていたからだ。