狼な彼と赤ずきん

でも、狼はきっと私がこんなに悲しんでいることを知らないし、知っていたとしても恐らく気にも留めないのだろう。


涙をこらえるように唇を噛みながら皿洗いをしていると、ふと彼が立ち上がる気配がした。


そしてそのまま、何も言わずに家を出ていこうとする。



「どこ行くの?狼さん」



「ちょっと、そこまで」



ぶっきらぼうな彼の返事。



私の居場所はここだって、あの日言ってくれたのに。


俺に頼ればいいって、言ってくれたのに。


行き先も告げずに私をひとりっきりにするの?


あの言葉は嘘だったの?



もう、我慢の限界だ。


このままここにいたら、本当に、私の心が壊れてしまう。



私は、狼が家を出て姿を消すのを確認してから、続いて外へ出た。


この前地図を書いて渡してくれた、狐に会いにいくために。