狼な彼と赤ずきん

彼の考えていることがわからない。


こんなに近くにいるのに、一緒に暮らしているのに、私は何一つとして彼のことを知らない。



何もかもがわからないことだらけで、私の脳は現実を処理しきれず、パンクしてしまいそうだ。



好きなのに。


彼のことがこんなに好きなのに、彼はこの気持ちに気付いてくれない。


気付かないまま、冷たい態度で私を傷つけ続ける。



「ごちそうさまでした」


「ん」



会話と呼べるかどうかすら怪しい言葉を交わし、私は皿洗いをする。


手にかかる冷たい水がまるで私の心の芯まで冷やしていくようで、目頭が熱くなった。