「おはよう、狼さん」



着替えを済ませ、私はリビングへ向かっていつも通り彼に声をかける。



「ああ、おはよう」



彼は一瞬私の方を見て、それからやはり、そっぽを向いてしまった。


その後の会話は、ない。


彼は黙ったまま私にトーストの皿を差し出し、私は小さく頭を下げてそれを受け取る。


ひどく惨めな気持ちだ。


一緒に住んでいるはずなのに、まるで別々の空間にいるかのよう。


彼がせっかく作ってくれたトーストも、まるで味のない粘土を噛んでいるように感じてしまう。