狼な彼と赤ずきん

「おーい、赤ずきんちゃーん。こっちへおいでよ、美味しいとうもろこしが焼けてるよー」



酔っ払ってタイを頭に巻き付けた兎が間延びした声で私に声をかけ、私は呼ばれるままに彼の方へ向かったが、狼がついてくる気配はない。


彼の方をちらちらと見ながら様子をうかがう私と、興味なさそうに家の壁にもたれかかる狼を、狐がじっと見つめていた。




そして、夜もかなり更けた頃。


結婚パーティなのか歓迎会なのか、肝心の狼があの調子なので結局これが何なのか分からずじまいだったが、和やかな雰囲気で集まりは終わった。


飲み物や野菜くずの後片付けをして、獣人たちが一人、また一人と帰っていく。