そんな私の努力は、自分で思ったよりうんとあっけなく崩れた。
「ねーねー、あんた最近なんでそんな変な喋り方するの?ちゃんといつもみたいに喋りなよ。」
あ、うんと答えた私の笑顔を明らかに引きつっていた。
自分の発音が、変……?
あの時のひどいめまいは今でも覚えている。
自分の声を録音して再生しても、私にはスピーカーから流れるノイズしか聞こえなかった。
もう、機械音は私をはねのけていた。
そして私は場面緘黙症という新たな病気と出会うことになったのだ。
人見知りでもないのに特定の限られた場面以外では、声が喉でつかえるようで喋れないという病気だ。
親には黙って補聴器センターへ行った。
この時の私の聴力は40デシベル。
ギリギリ日常会話が成り立つかどうか。
大きめの声でゆっくりはっきり話してもらえば確実という、中程度の難聴だった。