私はそう返事すると結衣のバッティングを見るために貼り付いていたネットから手を離し、カウンターに行った。



「ふうかちゃんは打たんでええんか?」


「残り今月のお小遣いの367円やねん」


「うちは一回200円や。いけるやん」


「ざんねーん。私の場合その200円をジュースに使いまーす」



ま、200円も使わへんねんけどな。と自動販売機に120円を入れる。これで残り247円になってしまったぜ。辛いなぁ。と思いながらりんごジュースを押す。


ガタンと音をたてて落ちてきたりんごジュースを取り出すと早速蓋を開けて一口飲んだ。口にアッサリとしたりんごの味が広がる。


結衣の方へ視線を戻すとカキーンッとまたええ音が鳴る。そして跳んでったボールはホームランと書かれた的に当たった。



「ほら見てみぃじじぃ!これがあたしの実力や!」


「クソッ!またタダ券持っていきやがって小娘がっ!」


「ザマァ見ろ!」



「またこいつは……」とブツブツ言いながらタダ券を取り出そうとするおっちゃん。結衣はそれを見て満足げに笑いながら中から出てきた。



「お疲れ結衣」


「ん、」



私は結衣にさっき買ったりんごジュースを渡した。すると結衣はりんごジュースを飲んだ。