ヘタレな幼なじみが実はドSでした。

教室に入ったとたんに親友の莉帆がニヤニヤして話しかけてきた。

あたしは、毎回よく飽きないな…と思いながらため息をつく。

「えー？もー、付き合っちゃえばいいのに」

「え、いやいやいや!?だって裕貴は幼なじみだよ?!ヘタレだし」

本当、莉帆はいきなり何を言い出すの…。

「んー、そうだけど…顔はイケメンじゃない！」

そう、裕貴はヘタレのくせに顔は何食べたらそんな綺麗な顔になるのと聞きたいくらいに美形だ。

ヘタレじゃなかったら間違いなくモテるよねー、と莉帆が笑ながら言う。

その時ガタガタっと何かを落としたような音がした。

その音の原因は裕貴が筆箱とか教科書を落としたことだった。

「もー、裕貴！何やってるのー？」

「わぁああ、ご、ごめん…っ」

必死になって謝る裕貴を見て思わず笑ってしまう。

やっぱり裕貴はあたしが守ってあげなきゃ。

「ねぇ、愛ー！隣のクラスの鈴木くんが呼んでるー！」

「え、何？なんであたし？」