君のために僕ができること。

(噂まわんの、早すぎだろ。)
ヘッドホンを肩にかけ、肘をついて窓の外を眺める。

すると、担任の先生が入ってきた。

ベタな全身赤ジャージに厳つい顔。
通称、鬼教師。そのままだ。

さすがのヤンキーも鬼教師には逆らえず、みんな一斉に着席した。

出席をとっていると1人だけいない。

入学早々休みなのは、桔梗 澄海玲だ。

そして、またひそひそと話し声が聞こえた。

「ねぇねぇ。桔梗 澄海玲ってさ、喧嘩強いんでしょ。」

「え?そうなの?全然聞いたことない。」

「それがさ、私が中学の時同じ学校だったんだけど、桔梗ってすごい美人で高校生につるまれてたの。それで断ったら、運悪く喧嘩っぱやい人達でさ、一人で全員しめたらしーよ。」

「え!?まじ?やばいね。全員って何人ぐらいだったの?」

「うーん。聞いた話では、7、8人ぐらいだった気がする。しかも、絶対笑ったりしないし、ミステリアスだから秘密の女って書いで秘女゛(ひめ)ってよばれてたよ。」