「ゴメンね、今日は帰って」

「え?!ちょっ…蓮!?」

一緒にいた彼女をほったらかしにしてオレは走った。


あれは絶対に岡崎だ!!


絶対に見間違いなんかじゃない。

オレは走って走って
彼女に近付いた。
緊張と不安が入り乱れるが、そんな感情になんかかまってはいられない。

「…岡崎…っ!!」


振り返る



そこに居たのは、オレが初めて好きになった人。
―間違えたりするもんか。


彼女は驚いた顔をして…少し微笑んで答えた。

「…見つかったか」

「…久しぶり」

「蓮、元気そうだね。もう…二年になったんだっけ」

「うん…岡崎は何してるんだ?先生…辞めたって聞いたけど」

「そうね。でもまたどっかで先生やるつもり」

「そっか…その方がいいよ」

当たり障りのない会話

何を話したらいいのかわからない。
こんな事を話したいワケじゃないのに。

もっと大事な事を話さなければならない気がするのに…いざって時に浮かばないし。


「彼女…できた?」

「できたり、できなかったり。お…岡崎は彼氏とはまだ…?」

オレは恐る恐る聞いてみた。
できれば…別れていてほしかった。




「私…結婚するの」