あの日、キミが流した涙の先へ




「これ、ありがとう。



それから今日土手に来てくれて、遠いのに家まで送ってくれてありがとう」



照れくさいから俯いてしまったけれど、彼に言われたことを思い出して泣いたから口角が上手く上がらなかったけど笑顔で椎原くんにブレザーを差し出した。



「お、おう。風邪引くなよ」



「うん」



ぎこちない返事をする椎原くん。



ここに来るまでずっとくすくす笑ってばっかりだったのに。



彼はわたしからブレザーを受け取ると、来た道を引き返して行った。



変なの……。せっかく話せたのにこのままにしたくなくてわたしは「椎原!」と呼んだ。



くん付けしたら白々しい呼び方って言われたから抜いてみた。



そしたら椎原くんは足を止めてこっちに振り返った。



「これでいいんでしょ?また明日ね!」



彼はちょっと不思議そうな顔をしたけど、さっきの話だと理解したみたいで「ちょっと違う!また明日な」と返してきた。



今度はわたしが不思議になる番だ。首をかしげてみたけど椎原くんは一瞬笑みを浮かべるとまた前を向いて歩いて行ってしまった。



だから、結局『ちょっと違う』は謎のまま。



無意識に言ってみた『また明日』が向こうはどういう風に取って『また明日な』って言ったのか分からないけど、明日またあの場所で椎原くんに会えたらいいなって思ったんだ。