あの日、キミが流した涙の先へ




分かれ道が来た時に「右」「左」と言いながら、わたしはなんで土手に今日来たの?と椎原くんに聞いてみた。



「そうだね……4番さんに呼ばれたから?」



いや、断じて椎原くんのこと呼んだ覚えはない。



泣いてる時に『自分なんか消えてしまいたい』って思っていたけど、その時は部活のみんなのことも、お母さんとお父さんのことも、春野先生のことも、もちろん椎原くんのことも頭になかった。



「4番さんは呼んでない」



「自分で言うの?」



「だったらなんで4番さんって呼ぶの?椎原くんの友達だって変だって言ってた」



「あっ、いつの間にか雨が上がってる」



椎原くんは傘に雨が当たらないのが気づいたのか、傘を閉じていた。



空を埋め尽くしていた灰色の雲が消えて、青い空には太陽が照らし始めた。