あの日、キミが流した涙の先へ




「…………」



「…………」



彼はわたしの隣にわざわざ座ったというのにそれ以上は何も話さなかった。



ただ、わたしと同じように目の前に広がる止まることを知らない川を眺め続けていた。



わたしたちの間に流れる音は海へと流れていく川の音、サーっと風が吹いて草同士がぶつかりあう音、それだけだった。



今が何時なのかもわからない。



でも太陽が少しずつ少しずつ川よりももっと先に見える大きな山の向こうに沈んでいく。



その姿が見えなくなっていくたびに、心の中はだんだんザワザワしてきた。



このまま太陽が沈まないでほしいと願っても、そんな願いは誰も聞いてくれない。



そして太陽はそれから間もなく見えなくなってしまった。