自分の席に着くと、わたしは一枚の真っ白な紙を取り出した。



「これで本当に最後……」



ボールペンを握って『春野先生へ』と書き始める。



『本当は話をしに行かなければならないのに、手紙を書いたことを許してください』



それから、口ではこの間伝えられなかったことをすべてぶつけるように書き連ねた。



わたしがバスケをしている理由が分からなくなったこと。



バスケを楽しいと思えなくなったこと。



キャプテンとして、プレイヤーとしての自信がなくなってしまったこと。



もう周りから圧力を受けながらバスケをするのが嫌になってしまったこと。



今でも一度も離れてくれない……あの試合の日のこと。



努力をどんなに積み重ねても、その先には勝利が待っていない辛さ。



最後のシュートの時、自分自身に勝てなくなってしまったこと。



バスケが怖くなってしまったこと、辞める以外には考えられなくなってしまったこと。



「……っ」



手で拭いきれなかった涙が白い紙の上に円をつくっていく。