「わたし……わたしは



バスケを辞める。



もう二度とこのユニフォームを着てコートには立たない」



小さい声になってしまったけれど、ちゃんと2人に伝えることができた。



わたしはもうこの場には入られなくて急いで自分の部屋に駆け込んだ。



リビングからは「未希!」とわたしの名前を呼ぶお父さんとお母さんの声が聞こえて来たけれど反応しなかった。



――バタン



ドアを閉めた後、すぐに鍵をかけた。



「……終わった。これでもうバスケをしなくていいんだ」



スっと消えていく独り言。それがとても今はむなしく感じた。



壁に貼られた中学時代、小学校時代のユニフォーム、チームメイトたちが書いてくれた寄せ書きの色紙。



床に転がった自主練用のバスケットボール。



そしてわたしが試合会場に置いてきたエナメルバッグとバスケットシューズが置いてあった。



わたしはバスケに関するものを自分の視界の中に入れたくなくて、すべて押し入れの中に何も考えずに締まった。