どれだけ走っただろうか。

東雲家から、かなり離れた。

「じ、仁人…」

あたしは仁人の名を呼ぶと仁人は

すごい顔をしてあたしに迫る。

「どうして!どうしてあの時…

僕を助けたんですか!!」

仁人、すごく怒ってる…?

仁人の表情は怒っているように見えるけど

両目には涙をためていてよく読み取れない。

「だってこれ以上仁人に迷惑かけられないし

仁人を傷つけられなかった。

あたしが守らなきゃなって、思ったから…。」

あたしは情けない声でつぶやく。