「どうしてー…来てくれたの…?」

ポロっと溜めていた涙がこぼれ落ちてきた。

「桜良さんが心配で、やっぱり送っていこうと

思って追いかけてたんです。そしたら

桜良さんが…襲われているのを、見て。

いてもたってもいられなくて、自転車で

追いかけてきちゃいました。」

またこんな時にも仁人は優しい笑顔を見せる。

「ダメですよ。桜良さん。あまり無理しちゃ。

やっぱり危なかったじゃないですか。

桜良さんは、女の子なんですから。」

優しい声で言われると涙が止まらなかった。

「ーっ、うっ………」

いつからこんなに弱くなったのかなあ、

そう思いつつ、仁人の背中で

意識を手放した。

* * *