仁人は鉄の棒を遠くへ蹴って

あたしの元へ歩いてきた。

「仁人っ…手を出すなって言ったじゃん…っ」

あたしは仁人に涙目で訴える。

「…すみません。そんな情けない顔で

言われても、従う気にはなりませんね。」

そう言って仁人はそっとあたしの顎を

持ち上げ、東雲が見ている目の前で

あたしに、優しい、キスをした。